辺境で診る辺境から見る

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戦乱の中、診療所をつくり、千の井戸を掘り、緑の大地を拓く――アフガニスタン・パキスタンで19年、時代の本流を尻目に黙々と歩む一医師の果敢な思考と実践の軌跡のエッセンス。 「ペシャワール、この地名が世界認識を根底から変えるほどの意味を帯びて私たちに迫ってきたのは、中村哲の本によってである」(芹沢俊介氏「信濃毎日新聞」)

目次

1 援助という名の干渉
 混迷と絶望の中で
 援助という名の干渉
 湾岸戦争と日本
 見えざる平和勢力
 見捨てられるアフガンの民衆
 極貧患者に罪負わせる道理ない 他
2 「解放」された無秩序
 戦慄すべき出来事の前哨戦
 米テロ事件そして報復
 日常を生きる人々
 空爆下で食糧配給
 異文化の中で「医療」を問う
 実践のなかにこそ答がある 他
3 三無主義
 ああ国際化
 日の丸
 国連信仰
 インシャッラー 他
4 新ガリバー旅行記
 復讐と客人歓待
 貧困の恩恵
 男女隔離
 ブルカの効用
 鎖国
 ハンセン病
 阿片
 教育という迷信
 誰も行かぬから
 ペシャワールのホタル
 不老不死の国
 終わりなき旅  他

著者略歴
中村哲
[なかむら・てつ]

 1946年福岡県生まれ。九州大学医学部卒業。医師。国内の病院勤務を経て、1984年パキスタン北西辺境州(現パクトゥンクワ州)の州都ペシャワールに赴任。以来ハンセン病を中心とした貧民層の診療に携わる。1986年からはアフガン難民のための医療事業を開始、アフガン東部山岳地帯に三つの診療所を設立。98年には基地病院PMSをペシャワールに建設。2000年以降は、アフガニスタンを襲った大干ばつ対策のための水源確保事業を実践。さらに02年春からアフガン東部山村での長期的復興計画「アフガン・緑の大地計画」を開始、03年3月からは灌漑水利計画に着手、07年4月第1期工事完成。2019年現在、灌漑面積約1万6千5百ヘクタール。年間診療数約8万人(2006年度)。
 著書に、『ペシャワールにて』『ダラエ・ヌールへの道』『医は国境を越えて』『医者 井戸を掘る』『辺境で診る 辺境から見る』 『医者、用水路を拓く』(以上石風社)、『アフガニスタンの診療所から』(ちくま文庫)、『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る――アフガンとの約束』(澤地久枝氏との対談 岩波書店)、『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』(NHK出版)、などがある。
 ペシャワール会現地代表、PMS(平和医療団・日本)総院長として現地事業を指揮。2019年12月4日、アフガニスタン・ジャララバードで、凶弾に斃れる。享年73歳。

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