書評アリ– category –
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バテレンと宗麟の時代
戦国時代、それはキリスト教文明との熾烈な格闘の時代でもあった。アジアをめざす宣教師たちの野心が、豊後府内の地で大友宗麟の野望とスパークする。世界史的な視点で平易に描かれた戦国史 -
佐藤慶太郎伝
日本のカーネギーを目指した九州若松の石炭商・佐藤慶太郎。「なあに、自分一代で得た金は、世の中んために差し出さにゃ」。巨額の私財を投じ日本初の美術館を建て、戦局濃い中、佐藤新興生活館(現・山の上ホテル)を建設、「美しい生活とは何か」を希求し続けた男の清冽な生涯を描く傑作評伝。 -
名前を探る旅
原爆により、長崎三菱工場の六千人以上、広島市女の女生徒七百名近くが、一瞬のうちに命を落とした。その生死を分けたのは、ある偶然であったにせよ、生き残った者にとっても、この世は煉獄であった──死者への思いと行き場のない憤怒が、終りなき鎮魂の旅へ駆り立てる。二人の被爆者の記録。 -
青春の丘を越えて
歌謡曲「丘を越えて」の作詞者として一世を風靡した詩人・島田芳文の初めての評伝。プロレタリア文学運動に身を投じ、民謡詩を経て、古賀メロディー「丘を越えて」を初め多くの大衆歌謡を手がけた朗々たる詩精神の彷徨の軌跡。元豊前市立図書館長の著者が、波乱にとんだその人生を、青春時代に焦点を合わせ、豊前市在住の地の利を生かし、二十余年の歳月をかけた力作。 -
われら雑草家族
大学を中退して徒手空拳で始めた農業と平飼いの養鶏。家族五人の悪戦苦闘の日々は、格差社会もなんのその。火事にも、台風にも、世間にも負けず、大地に生きる雑草家族の日々を綴る。 -
はにかみの国
石牟礼作品の底流に響く神話的世界が、詩という蒸留器で清冽に結露する。1950年代作品から近作までの三十数篇を収録。石牟礼道子第一詩集にして全詩集。*芸術選奨文部科学大臣賞受賞。 -
ぼくのうちはゲル
「ぼくの さいしょのうちは まあるい かあさんの おなかのなか。このうちは かあさんのやさしさで いっぱい。ぼくが どんどん おおきくなり おなかのなかが きゅうくつになった」そして宿営地のゲルで生まれた男の子ジル。家族や家畜とともに、春夏秋冬と宿営地をめぐる、モンゴル遊牧民の四季と生活の絵本。野間国際絵本原画コンクール・グランプリ受賞作。 -
ふしぎとうれしい
「生きのいいタイがはねている。そんなふうな本なのよ」長新太氏 絵本作家・長野ヒデ子さんの初めてのエッセイ集。使いこんだ布のように、やわらかな言葉が、人について、絵本についていきいきと紡がれる。長野さんの絵のふしぎの秘密もわかります! -
わが内なる樺太
十四歳で樺太から疎開した少年の魂が、樺太四十年の歴史を通して「国家」を問う。1945年8月9日、ソ連軍樺太に侵攻、8月15日の後も戦闘と空爆は継続、幾多の民衆が犠牲となった。──忘れられた樺太の四十年が詩人の眼を通して綴られた── -
極楽ガン病棟
やっと漫画家デビューした34歳で肺ガン宣告。さらに脳に転移しての2回の開頭手術。患者が直面する医療問題(薬の知識、お金、入院)をベースに、生命がけのギャグを繰り出す超ポップな闘病記。──敵は病気か病院か、めざせ不屈のガン患者!