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社会・経済既刊
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われら雑草家族
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われら雑草家族

大学を中退して徒手空拳で始めた農業と平飼いの養鶏。家族五人の悪戦苦闘の日々は、格差社会もなんのその。火事にも、台風にも、世間にも負けず、大地に生きる雑草家族の日々を綴る。

書評

考えさせられる幸せの基準

松垣 透
編集委員

 最近、幸せの気分について考えることがある。格差社会だの、派遣切りといった言葉が溢れ、正しい自身の立ち位置を見失いかけているのではないかと思う。そうしたときにこの本に出会った。
 そのタイトルの「雑草」という言葉にまずひかれて、手にとって読み始めた。内容は本の装丁通り武骨で、何気ない日々の生活を書いているのだが、これがいいのだ。鶏を飼い、野菜を作るという素人農法で、「ロビンソンの日々」の毎日。自分たちの食べるものをつくり、採取し、拾い、貰う。現金収入は基本的には卵を売ることで得るが、それはごくわずかな金額でしかない。周囲からは綱渡りの極貧生活と見られていたかもしれない、と書く。その通りだろう。
「世間体などを一切気にしなければなんとかなるものだ」と、小屋のような家まで建てた。そうした生活を文章で表現している。自身のことを書くときの素直な表現もいい。素直に反省もしているのもかわいい。子供たちとの会話もいい。子供たちとの接し方もいい。なかでも妻の素直な文章がいい。手作りの家を台風に飛ばされながら、そのトタン屋根を修理する様子など、目に浮かんでくる。ユーモアもあるから、ただ苦しくて悲惨な生活には見えない。餅をネズミに持っていかれ、それを見つけて取り返すくだりは笑った。
 家族についても考えさせられる。子供たちが成長して、自分の将来の進む道を決めるときに、その「教育」が正しかったこと、両親の教えをきちんと理解していたことが分かる。それぞれの進む道はそれぞれでしっかりと選んでいる。
 幸せの基準について考えさせられたのは、何もないのにここでは豊かなのだ。お金ではないことは分かっていても、そのことにこの本を前に、厳しく気付かされる。今の世のなか、何が幸せで、何が必要で、何がいらないのか。この本ではそんなことを考えさせられ、自分の将来を見つめ直すきっかけにもなった。

  • 230頁 四六判並製
  • 978-4-88344-169-3
  • 定価1680円[本体1600円]
  • 2008/11/10発行
三池炭鉱 月の記憶 そして与論を出た人びと 与論 炭鉱 三池 塵肺 沖縄 井上佳子 石風社 三池労組 
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三池炭鉱「月の記憶」
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三池炭鉱「月の記憶」

三井三池炭鉱の108年の歴史。囚人労働に始まった炭鉱は、与論の人びとがその一端を担った。仕事を制限され、賃金は差別され、炭住は隔てられ……それでも彼らは懸命に働き、泣き、笑い、踊り、強靭に生き抜いた。そして中国人、朝鮮から連れてこられた人、炭塵爆発、三池労組。過酷な労働と差別によって成し遂げられた三池炭鉱を「影」の記憶をそして生き抜いた人びとの強さを追い求めた珠玉のノンフィクション。

  • 四六判上製255頁
  • 978-4-88344-197-6
  • 定価1890円[本体1800円]
  • 2011/07/20発行
アフガン農業支援奮闘記 旱魃 洪水 水不足 蕎麦 茶 アルファルファ 中村哲 高橋修 橋本康範 伊藤和也 進藤陽一郎 山口敦史 石風社 ペシャワール会 農業 さつまいも
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アフガン農業支援奮闘記
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アフガン農業支援奮闘記

「アフガニスタンに自給用の農作物を」。異なる文化、過酷な風土の中で悪戦苦闘しつつ積み重ねられた農業支援六年余りの克明な記録。小麦・米・トウモロコシ・アルファルファ・ソルゴー・さつまいも・茶・ぶどう・蕎麦など、失敗の数々といくつかの成功。その試行錯誤を克明に記すことで、次世代へと繋ぐ報告集。

書評

アフガニスタンにおける農業支援の詳細な実践の記録

岩島 史
京都大学大学院農学研究科博士課程

 本書は、アフガニスタンで活動するNGO「ペシャワール会」が、2002年に発足させた「緑の大地計画」のうち、ダラエヌール地区の試験農場を中心とする農業支援計画の記録である。「緑の大地計画」は「1飲料水源の確保、2農業用水路の建設、3乾燥に強い作物の研究・普及から成り、旱魃で荒廃したアフガン農村の復興を長期的な展望でめざ」すものであった。2007年8月、同会の試験農場で働いていた伊藤和也氏が拉致・殺害された事件以降、中断せざるをえなかった農業計画を「できるだけ正確に広く知っていただく」ことが、「責務」であるという同計画の責任者らによって上梓されている。
 1章では「ペシャワール会」が農業計画をはじめるまでの経緯、2章では計画に参加した日本人ワーカーそれぞれの意気込みや参加に至る経緯が書かれている。3章では実際に試験農場で栽培をはじめた作物について品種選びから作付けの時期や畝の立て方まで、数々の栽培試験をし、失敗と工夫を重ねたことが詳細に記録されている。4章では、試験農場で栽培に成功した作物を近隣農家へ普及する過程で経験した、現地の人に任せることの大切さと難しさについて述べている。5章では世界的な政治情勢が他人事ではない状況のなかで、現地の生活・文化に馴染んでいく様子や人びとととのふれあいが描かれ、マスメディアの中の「アフガニスタン」とは異なる等身大の人びとの姿が垣間見える。ただし、編著者が全員男性であるため、本書における「人びと」とはすべて「子どもと男性」である。最後の章では、伊藤氏の拉致・殺害事件と農業計画中断の決断にまつわるメンバー間のやりとりが記載されており、編著者らの「断腸の思い」が伝わってくる。巻末の資料も非常に充実しており、現地の気温や土壌phから施肥や水やりの方法など、アフガニスタンの厳しい気象条件の下で作物を実らせるための7年間のさまざまな工夫が詳細なデータの蓄積として残されている。農業計画の責任者であった高橋氏の栽培方針と現地農家からの提案との相違点も作物ごとにまとめてあり、非常に興味深い。
 本書を通じて一貫して語られるのは、編著者である高橋氏が京都府で農業改良普及員をしていたという経験にもとづく「現地主義」の理念である。「現地主義」の内容は「主役は農家」「現地の技術を改良しながら」「資機材は現地調達を基本として」の3点であるという。これは今や国際協力において必ず求められ、なおかつ議論も多い理念である。本書でもそれを実践することのむずかしさが試行錯誤する記録の中ににじみ出ており、農業支援の記録として貴重であるだけでなく、支援する人と現地の人とのかかわりの記録として、国際協力にかかわるすべての人にとっても示唆に富んだ書である。

アフガン、実った笑顔 ペシャワール会農業の記録出版

古田大輔
朝日新聞

 アフガニスタンとパキスタンで医療や農業の支援活動をしているNGO「ペシャワール会」(本部・福岡市)の農業分野の軌跡をまとめた『アフガン農業支援奮闘記』が出版される。2008年8月にアフガンで拉致・殺害された伊藤和也さん(当時31)らが旱魃と戦乱で荒廃した大地に挑んだ7年余の汗と涙、そして、現地に再び実りと笑顔をもたらした記録だ。

 アフガン東部での農業支援は01年6月、旱魃対策の井戸掘りから始まり、はがて、25キロにも及ぶ水路の建設とその周辺に農地を復活させる「緑の大地計画」に移る。
 京都府職員として長く農業の普及指導に努め、退職後は国際協力機構のもと、アジア各国で支援に飛び回ってきた高橋修さん(79)ら計6人の日本人職員が主に支援にあたった。その中に伊藤さんもいた。
 予想もしていなかった困難が相次いだ。異常な高温と乾燥。アルカリ性の土壌を改良しようと硫黄を持ち込んだら、テロリストと疑われた。せっかく育った作物を盗んでいく者もいた。「なんでもいいから種よこせ。アフガンの手助けに来たのだろう!」と居丈高に要求されたことも。成功の影にあるそんな苦難も本には記されている。
 作物は元々栽培が盛んだった小麦だけでなく、飢餓から農民を救うためのサツマイモや現地品種よりも収穫量が大きかった日本米、栄養価の高い大豆や換金作物としての茶などに広げていった。成功体験を重ねることで、現地の人たちからの信頼が高まり、活動も円滑に進むようになっていった。水路周辺には内戦で避難していた人たちが戻り、集落もできていった。
 職員を支えたのは飢餓と闘う決意と、アフガンの人々の温かさだった。「寂しいだろう」と手作りの伝統楽器で民謡を披露してくれたり、自分たちの食事を減らしてまでもてなしてくれたり。そんな心の交流も紹介している。
 伊藤さんの事件が発生し、日本人職員は現地代表の中村哲医師(63)を遺して全員帰国した。本では、日本人職員撤退後の09年2月に現地の農家からかかってきた国際電話が紹介されている。
「日本米の新米は中村先生のところに届けた。サツマイモもお茶にあう甘い芋がとれた。この冬のサツマイモの保存も去年やった通りに管理している。(中略)大丈夫だ。農業計画はちゃんと前進させているぞ」

  • 401頁 A5判並製
  • 978-4-88344-184-6
  • 定価2625円[本体2500円]
  • 2010/03/01発行
伏流の思考 福元満治 私のアフガン・ノート 石風社 福元 満治 中村 哲 ペシャワール らい ハンセン NGO 国際化 グローバリズム アフガニスタン アフガン 石風社 伏流 思考
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伏流の思考
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伏流の思考

一編集者が、ひょんなことからNGOの責任者になって、考え続けた思考の軌跡。……人間の欲望が幻影となって、人間の存在を呪縛する世界に身を置きながら、アフガニスタンに関わり続けて二十数年。

書評

援助の独善、厳しく排す

松原新一
久留米大学教授・文芸評論家

 福岡市にペシャワール会というのがある。一九八三年九月、中村哲医師のパキスタン・アフガニスタンでの医療活動の支援を目的に結成された会である。そのペシャワール会の広報担当理事として中村医師の活動にねばり強く伴走してきた福元満治が、『伏流の思考──私のアフガン・ノート』という本を出した。その読後感を書きとめておきたい。
 福元満治は、ある時、現地でのボランティアを希望する看護婦さんと中村医師との会話の場に同席したことがある、という。「私でも何かの役に立つでしょうか」と問う看護婦さんに、中村医師は即座に「いえ、役に立ちません」といってのけた、という。この、一見冷徹ともいえる答え方に、福元満治は、長年ペシャワールという異文化の地で悪戦苦闘してきた「ひとりの人間の断固たる意志」を見た、と書く。
 中村医師はただ冷たく突き放したわけではなく、「半年か一年は寝てくらすつもりで来てください。そのうち現地の様子もおいおい見えてきて、何が必要かもわかって来ます」と言い添えるのを忘れてはいない。ただ、不幸な他者への慈善的善意に陥りがちな私どもの弱点をきびしくみすえることばとして、ここに取り出したのだが、「現地の立場に立つ」ということが、いかに困難な課題であるか。
 本書を読みながら、幾度も私の念頭に浮かんだのは、いったい他者の呼びかけに応えるとはどういうことか、という問いだった。福元満治は、中村医師はさまざまな国家や組織や個人が「援助」の美名のもとに、それぞれの利害や思惑や善意を現地の人びとに押しつけて混乱を引き起こす姿を、うんざりするほど見てきたはずだ、という。NGOなどが、お金を出してくれる「先進国」の方に顔を向けて、「識字教育」だの「女性解放」だの「人権問題」だのといった先進国好みのテーマを持ち込むのも、現地の必要という点からいえば本末転倒になりかねない、という。
 面白いのは、福元満治が中村医師に対して最初に抱いた感情は「嫉妬」だった、と告白している事実である。「中村医師のアフガニスタンの人々との関係のありかた、その深さに嫉妬したのである。ひとは、他者とこれほど深く関わりあうことができるのか」という思いだった、という。そういう悲しい感受のしかたに、おそらく六〇年代末のあの全共闘世代の一人としての福元満治の、心の傷がうずいているにちがいない。ここに本書の微妙な文学的性格もまた浮かび上がってくる道理である。

  • 272頁 四六判上製
  • 978-4-88344-104-4
  • 定価1575円[本体1500円]
  • 2009/10/20発行
電撃黒潮隊 アートネイチャー 大山 木村栄文 石風社 TBS ルポルタージュ ドキュメンタリー テレビ ディレクター
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電撃黒潮隊
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電撃黒潮隊

ブン屋に負けぬテレビマンたちの逆襲! 筑紫哲也氏絶賛の、心ゆさぶられるヒューマンルポルタージュが綴られた。

書評

地元への愛着あふれる視点で

由富章子

 先入観というのは、実に恐ろしい。どの本を選ぶか。わたしの場合その基準はまず題名、次に著者という順で決めている。だから本来ならばこの本は黙殺される運命にあったといえるだろう。なにしろ題名が、電撃黒潮隊である。テレビでオンエアされていることは知っていたが、てっきり軽薄なタレントが騒ぐだけの番組だと思い込んでいた。これが大層な誤解だということは一読すればすぐ分かったから、熱心に薦めてくれた友人には感謝しなければならない。
 蛇足ながら説明すると、この本は九州・沖縄・山口のJNN系列のテレビ局が制作したテレビルポルタージュを本にしたものである。だったら番組さえ見ていればそれでいいじゃないか、と言われるかもしれないが、それが違う。なにより映像と活字では表現方法が異なるし、放送では伝わらない細かい部分だってあるはずだ。ここはやっぱり映像屋さんにも頑張って、文字に起してもらわなければなるまい。
 さて基になる番組だが、勝負の決め手は各ディレクターの視点にあるといってもよいだろう。中央から見下ろした地方、ではない。公平な目線、旺盛な好奇心と真摯な追求、なによりも地元への愛着がものを言う。熊本ではかつて戦災孤児収容施設だった藤崎台童園と、オウムに揺れる波野村が取り上げられているからその興味の広さがわかろうかというものだ。
 もちろん出版社も地元(福岡)デアル。地方の雄として、メディアにはもっと個性と内容に重きを置いてほしいし、冒険心だって忘れてほしくない。もちろんわれわれ一人ひとりにしても本当に価値のあるものを見極め、育てていく器量が必要だ。
 頑張っている人を見ると思わずエールを送りたくなる。知らなかった身近な話題をもっと掘り下げたくなる。とにかく先入観なしに読んでほしい一冊だ。

  • 389頁 四六判並製
  • 4-88344-019-2
  • 定価1575円[本体1500円]
  • 1996/12/14発行
東アジア 新時代 海図 朝日新聞 西部本社 社会部 グローバル アジア 経済 石風社
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東アジア
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東アジア

グローバル・スタンダード(世界金融攻勢)を前にアジアは真実、危機に瀕しているのか? アジアの底流を読み、経済のみでなく、人々の日々の営みから、明日のアジアを展望する。

書評

下からの東アジア論

河村誠治
国際東アジア研究センター主任研究員

 本書は、主として、朝日新聞西部本社が一九九七年初めからつい最近まで同社新聞に掲載してきた東アジア現地ルポを加筆・編集したものである。その目的は、変化の激しい東アジアの「いま」を書き留め、新しい時代につなげたい、とある。第一線で活躍する記者たちの執筆だけあって、わが国を含めた現地(地域)の人々に焦点が当てられている。われわれ読者とも深くかかわる現実の問題が軽快な語り口で述べられており、全二六九ページは一気に読み終えられる。
 表題の「東アジア」は、「九州・西中国・沖縄と密接につながる身近な地域」で、「東シナ海や黄海に面した国・地域」であり、主たる対象国・地域として、日本、韓国、中国、台湾が挙げられている。大方の脈絡はこうである。
 東西冷戦時代に固く閉ざされ分断されていた黄海・東シナ海がすっかり開放され、地域住民の相互交流が拡大したが、他方で漁業、漁業資源、漁民の生活、経済水域の線引き、領土・領海問題などをめぐる激しい対立も生じている(第1章「荒れる二〇〇カイリ」)。ともあれ、その東アジアの国・地域を結びつけてきたのは、ハブ港湾、航路、海運業者、船員である(第2章「港と海運をめぐる攻防」)。黄海・東シナ海が狭くなった結果、密航から外国人労働者の就業のあり方までの新たな社会問題が日本、韓国、台湾に突きつけられるようになった(第3章「回流する外国人労働者」)。東アジアの文化・芸能・スポーツ界に生きる人々に目を当てれば、ハングリーな直向きさと向上心がよくわかる(第4章「クロスオーバー文化芸能」、第5章「越境するスポーツ」)。東アジアの多くの人々の心は、いま、夢と現実のはざまで大きく揺れている(第6章「漂泊するアジアの心」)。その対極にあるのがわが国の海上保安官たちであり、領海を守ろうという使命感と苦労は積もる一方である(第7章「第七管区海上保安本部」)。今後の東アジアの行方を占う上で、開発独裁型の経済成長が行きづまった韓国の動向はとくに目がはなせない(「危機の韓国経済報告(経済部編)」)。東アジアでの交流の姿をアジアで活躍の三氏に聞くと、エコノミストは直接投資が中国大陸だけに集中しないことを、女優は東アジアの違いを認めることを、歴史家は東アジア史に見られた都市間交流の復活を説いている(終章「新時代のアジア」)。
 私が編者であれば、とくに大切な終章は、外部の識者にゲタをあずけるようなことはせず、それまでの全8章をベースに結んだはずである。識者の意見が必要なら別章を設ければよい。実際、終章の識者の発言からは、交流の具体的姿がほとんど見えてこない。いくら東アジアのいまを「書き留め、新しい時代につなげたい」と言っても、一冊の著書である以上、また単なる新聞記事の寄せ集めと寄せ集めと誤解されぬためにも、脈絡をもっとはっきりすべきであったし、今日の東アジアを総括する自己主張があってしかるべきであった。
 そうだからと言って、本書を過小評価するわけにはいかない。最後になったが、他にはない本書の特長を四つ挙げておく。一、個々の記事が現実に忠実で、また普通の学術書にはない新鮮さがあり、多様な東アジアの方向性を探る上で有益である。二、わが国を東アジアの一員とし、東アジア域内からわが国の存在を見いだそうとしている。ちなみに、多くの経済統計(但し書き)では、経済発展段階の違いと称し、「日本を除く東アジア」と明記しているが、それは東アジアの独自性を否定し、環太平洋地域構想に加担する考えの表れである。三、経済成長や金融・通貨危機などの経済問題に偏ることなく、各種の社会問題を拾い上げている。それは、歴史、社会、風俗、習慣、文化などを重視していることの表れでもある。四、目指そうとするところは、開発独裁という「上からの東アジア論」ではなく、地域住民の視点から見た「下からの東アジア論」であり、ユニークである。

  • 四六判並製271頁
  • 4-88344-031-1
  • 定価1575円[本体1500円]
  • 1998/06/20発行
住民参加マニュアル カナダ 連邦政府 住民参加 プログラム 計画 実施 要項 中島重旗
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住民参加マニュアル
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住民参加マニュアル

豊富な実践経験をもつカナダ連邦政府による、効果的な住民参加のための原則と実施要項。「住民参加とは、行政機関がより良い意思決定をすることを目的とした、住民との双方向の情報交換である」。

  • A5判並製263頁
  • 4-88344-033-8
  • 定価2940円[本体2800円]
  • 1998/08/01発行
年々去来の花 弁護士 手帖 湯川久子 石風社 女性 離婚 結婚 遺産 
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年々去来の花
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年々去来の花

結婚・離婚・遺産相続……と、人間関係の修羅場を見つづけてきた著者が、能狂言に重ねつつ人間の愛憎劇を越えるための知恵を紡ぐ

  • 四六判上製211頁
  • 4-88344-004-4
  • 定価1890円[本体1800円]
  • 1995/05/21発行
わたしの天職 北九州おもしろ人間帖 西尾秀巳 石風社 北九州 筑豊 京築 仕事 ライフワーク
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わたしの天職
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わたしの天職

──庶民、あなどるべからず──。不況も世間もどこ吹く風。今日もひたむきに、自らのライフワークを究めつづける、北九州・筑豊・京築の、一筋縄では行かぬ個性派84人の履歴書。「わしゃ、この仕事に誇りばもっちょるよ」

  • 194頁 四六判並製
  • 4-88344-058-3
  • 定価1575円[本体1500円]
  • 2000/04/30発行
日本型経営の擁護 嵯峨一郎 熊本学園大学 石風社 グローバリズム 労使関係 労働組合 ベンチャー 日産
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日本型経営の擁護
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日本型経営の擁護

日本型経営は諸悪の根源か? グローバリズムや市場原理主義に翻弄されてダッチロールする経済評論家やマスコミ。己の全共闘的思考への内省を込めて、日本型経営、日本型労使関係について考察された一冊。

  • 271頁 四六判並製
  • 978-4-88344-089-4
  • 定価1890円[本体1800円]
  • 2002/12/31発行
 (12件中) 1〜10件目