戦記– category –
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ペンと兵隊
北九州・若松の沖仲仕頭領・玉井金五郎の長男として生を受け、文学を志し上京。帰郷後、労働者の組合運動に身を投じ、芥川賞受賞の「糞尿譚」や従軍小説「麦と兵隊」などで一躍、国民作家の地位を確立するも、戦後、連合軍により公職追放――。激動の時代とともに葛藤しつつ揺れ動いた文学者たちが背負った思想的課題を、葦平作品に内在する振幅の中から問い直す評論集。 -
越南ルート
華北からインドシナ半島まで四千キロを行軍した冬部隊一兵卒の、戦中戦後を巡る自伝的小説。──戦争を生きた人間の思念が深く静かに鳴り響く。戦争文学の知られざる傑作。 -
昭和二十年八さいの日記
その少年は、「おくにのために」死ぬ覚悟だった。八歳だった佐木隆三氏が少年の心象を書き、7歳だった黒田征太郎氏が渾身の気迫で絵を描いた。リアルなHIROSHIMAとNAGASAKI。そして平和と命への希求が描かれた〈イノチの絵本〉 -
絵を描く俘虜
十五歳で満蒙開拓青少年義勇軍に志願、十七歳で関東軍に志願、敗戦でシベリア抑留。二十二歳で帰国。土工をしつつ画家を志す。──満洲シベリア体験を核に魂の深奥を折々に綴った一画家の軌跡。 -
白いなす
そのころ、日本は世界の国々と戦争をしていました。海峡の町にくらす少女の家族から、戦争はかけがえのないものを奪いさった。少女の父も兄たちも二度ともどらなかった。戦争と平和を考える絵本。 -
北京籠城日記
明治三十三年、義和団の乱。清国兵・義和団五万の包囲のなか、柴五郎中佐のもと前線で防衛指揮した一大尉の日記。前線指揮官の克明な証言。 -
ラバウル日記
旧帝国陸軍の官僚制としぶとく闘いつづけた一予備役軍医の二千枚に及ぶ日記文学の傑作。──降伏時、総司令官から出された責任逃れの「極秘通達」に憤り、英訳して豪州軍に提出。裏切り者と指弾されながらも、同僚を死刑より救う。 -
加久藤越
敗戦直前に結成された独立歩兵大隊。その奇妙な行軍の一週間が、人間存在のやるせなさをあぶりだす──。「峠を越えて兵隊達は夫々の故地へと四散してゆきました。お互い二度と廻り会えることのない人達でした。独立編成部隊のサダメでした」(松浦豊敏氏)。 -
ローン・ハート・マウンテン
「パール・ハーバー」に対する報復として、日系人11万人が強制収容所に抑留された。収容から50年、アメリカを内部から静かに告発する本書は、紆余曲折を経て、日本と日本人にとっても両刃の剣として甦る。──もう一つのアメリカ。アカデミー賞受賞作品「待ちわびる日々」原作。 -
聖福寮の子どもたち
ある引揚孤児収容所の一年。……戦争は多くの子どもたちの命を奪い、その親を奪った。かつて日本の植民地であった満州・朝鮮の地で両親を失い、日本に引き揚げててきた子どもたち、なかでも、栄養失調や病気の子どもとその兄姉を収容し育んだ「聖福寮」の一年を通して、「昭和」という時代をしずかに問い直す