石風社、初めてのクラウドファンディング 応援する
2025/01/17

石風社、初めてのクラウドファンディングにトライします

【3月初旬発売予定】

「〈増補・新装版〉水俣病にたいする企業の責任 チッソの不法行為」

水俣病研究会[著](A5判上製488頁 定価3500円+税)

装幀 毛利一枝  写真 芥川仁

福元満治(図書出版石風社代表)より

水俣病研究会[著]「水俣病にたいする企業の責任 チッソの不法行為」の〈増補・新装版〉を出版するにあたり、初めてクラウドファンディングに挑戦します。扱いはfor Good社です。 

▼クラウドファンディングページへのアクセスはコチラから

水俣病研究の原点『企業の責任』〈増補・新装版〉出版、「安全確保義務」の確立を!

https://for-good.net/project/1000774/activity

水俣病研究会は、1969年に提訴された「第一次水俣病訴訟」の理論構築のために結成されました。集まったメンバーは、『苦海浄土』を出版したばかりの石牟礼道子さんを除けば、富樫貞夫氏にしても原田正純氏にしても岡本達明氏にしてもまだ30代の医者や研究者でした。連日の調査研究と激論の日々に、倒れるものが出るほどの熱い研究会でした。

連日の議論の末、メンバーが辿り着いたのは、加害企業チッソの「資本の論理」に対する、「安全性の論理」です。危険物を扱う企業には「安全確保義務」があり、行政にはその監督義務がある、という明明白白な論理です。その論理と義務を再確認し倫理として実践することが、水俣病事件が残した未来への教訓です。

「企業の責任」は、初版(1970年)も復刻版(2007年)も非売品でした。以下の2点を踏まえて〈増補・改訂版〉を出版することにしました。

  1. 現在の視点からの綿密な「解題」(有馬澄雄・水俣病研究会代表)と注を付すことで、「水俣病研究」を未来へ向けての施策に活かす。
  2. 非売品ではなく、あらゆる流通網で購入可能にし、読者に開かれたものにする。

クラウドファンディングにトライしようと考えた理由は、以下の3点です。

  1. 読者を広げたい。通常の販売網(書店・アマゾン等)を超えて読者を獲得したいと考えました。
  2. 定価を抑えたい。「企業の責任」は、A5判480頁ハードカバーの小部数の専門書です。通常ですと高定価に設定せざるを得ません。クラウドファンディングの応援を得て、定価を抑えたいと考えました。
  3. 出版の可能性を広げたい。出版業は、本を店頭に出すまで購読者を確定できないハイリスクな業種です。クラウドファンディングというシステムで、出版前にある程度の読者を獲得できれば、出版界にも新しい未来が開けるのではと考えてトライいたします。

追記 クラウドファンディングが始まって、みなさんの応援と声が届き始めてあらためて感じました。これまでの出版経験では、意外と読者の声を聞くことが少なかったということです。みなさんの応援の声に励まされます。ありがとうございます。

死者の鎮魂のために           

私が学生だった頃、水俣病問題に関わりました。そのことが私のその後の人生を決定づけ、アフガニスタン で用水路を造った中村哲さんの事業にまで関わることになりました。石牟礼道子さんは、水俣病の患者さんのことを「かつて一度も歴史の面に立ちあらわれることなく、しかも人類史を網羅的に養ってきた血脈」と記しています。その血脈、つまり累々たる無名の死者の思いを背に闘われたのが、第一次水俣病訴訟だったと思います。だからこそあの裁判は、「損害賠償請求」に止まらず「人としての道義」をも問う訴訟になったのです。『企業の責任』は、利益追求を優先し、人の命や自然環境を破壊したチッソの「罪と嘘」を完膚なきまでに暴きました。本書の「安全確保義務」の法理論が企業・行政の倫理として定着することで、水俣病による死者たちの鎮魂になればと祈ります。

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