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子どもたちの問題 家族の力
子どもたちは 無意識の底で
「それはちがう」と ささやく――
不登校
非行
虐待
性的虐待
発達障害
思春期危機……
子どもたちが抱える
さまざまな問題に
大人と家族はどう向き合えるか
子どもを騙すことは現実には容易である。特に十歳未満の子どもには白を黒と言い含めることもできる。そしてそういう大人たちでこの世は溢れかえっている。
でも子どもたちをいくら巧妙に言い含めたとしても、子どもたち自身がそれを受け入れたとしても、そのアンテナは無意識の底で「ちがう」と囁くのだ。子どもはそれを意識することも言葉で言いあらわすこともできない。だから様々な行動によって表現するしかない。それが「問題行動」と呼ばれる行為の大部分であると思う。
おそらくそれは全ての大人がかつて持っていて、社会に順応するために忘れ果てたものなのだ。例えばそれは家族の中で父も母も諦めてしまい、もはや諦めたことさえも忘れてしまっている夫婦のお互いへの絶望や悲しみなのかもしれない。それは子どもの問題に向き合う以外には、大人たちが気づきようがなかったものなのだ。そうであれば、そこには家族の再生のカギが眠っている。(「まえがき」より)
Ⅰ 明るい不登校――三世代家族のバランサー
止まない非行 母のなりたかったもの
里親という生き方――家族の条件
Ⅱ 零度の約束――初めはふつうの家族だった
誰にも言えないこと――父と娘の距離
消えない炎――別れた家族が集まるとき
アスペルガーと記憶の泉――小説がカウンセラー
Ⅲ 思春期の生と死――深い霧の向こう
家族再統合――発達障害に訪れた奇跡
中学生で父親に――家族へのいばらの道
1947年熊本県に生まれる。
1988年から、九州圏内の県職員となり、退職まで三つの児童相談所で勤務する。相談課、児童福祉司、係長、保護課長、相談課長等を歴任し、その間相談技法として「家族療法」を取り入れる。2006年に日本家族心理学会、家族カウンセリング協会認定の「家族心理士」の資格を取得。退職後は、中学校のスクールカウンセラーとして勤務する。著書に、詩集5冊。日本現代詩人会会員