子どもを大切にしない国 ニッポン
元児童相談所職員の考察と提言

著者:
竹中 力
判型・頁 四六判上製350頁
ISBN 978-4-88344-318-5
定価 2750円(本体2500円)
発行日 2023/05/01

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いじめや体罰、虐待・自死から
子どもたちをいかにして守るか

親・児相・施設職員・保育士・教師・医師・市町村職員 etc…
子どもの命に携わる人たちの必読書

保護者から現に虐待を受けている子どものほとんどは、死を選ぶことなく耐えているというのが実状である。
学校におけるいじめと家庭における虐待との違いは、同じような精神的・肉体的迫害を受けていながら、子ども同士間でいじめを受けるということは、本人にとっては一切妥協のない外圧や人間疎外、逃げ場のない学校生活、自尊心の重篤な傷つきといった厳しい状況の中で生活していることであり、家庭内の虐待の場合は、暴力やネグレクトを受けていても、哀しいことであるが、多くの子どもが親に対して、いつかは、自分を愛してくれるかも知れないという切ない期待、希望を持っていること、この差の違いではないかと考える。 (「本文」より)

目次

  プロローグ 12

第一章 児童相談所の現状と虐待防止の強化            
1 子どもの虐待報道 18
2 児童福祉法の成り立ちと社会背景 26
3 子ども虐待防止対策前夜 28
4 虐待防止対策の強化と課題 34
5 児童相談所の活動 39
6 親権制度との戦い 55
7 親権制度の見直し 59        
8 児童相談所の体制強化と親の体罰禁止の明文化 72
9 児童相談所における喫緊の課題 88

第二章 子ども虐待と子どもを守る法制の歴史的考察
1  古典的虐待と子どもの救済策 94
2 江戸期の虐待禁止令 96
3 明治・大正・昭和初期の子ども救済策 97
4 わが国の児童虐待防止対策の黎明期 103
5 懲戒権・親権の歴史的成り立ち 109
6 非行ある子弟(不良少年)への懲戒権の行使 114

第三章「子どもの権利に関する条約」の批准とその後のわが国の動向
1 「子どもの権利に関する条約」の成立と社会背景 122 
2 子どもの意見表明権の実例 126 
3 国連子どもの権利委員会の総括所見 127
4 わが国の是正勧告等への対応及び現状 137

第四章 少年司法の動向
1 少年法の制定 162
2 少年法改正の経緯と改正点 163 
3 少年非行の低年齢化・凶悪化の虚構 178
4 少年法適用年齢引き下げの議論 180
5 少年犯罪減少の背景 186
6 子ども世界の縮小化・希薄化 189 
7 少年司法の今後の行方 195

第五章 いじめ自殺・教師の体罰の問題        
1 日本の自殺死亡率の高さの問題 208
2 子ども若者の死亡の現状 211
3 わが国の自殺対策 226
4 自殺者統計 228
5 いじめ防止対策推進法の制定 236

第六章 わが国のいじめ自殺の現状
1 2015~2019年度 いじめ自殺報道の概要 252
2 いじめ認定における諸課題 278
3 いじめアンケート調査 283
4 第三者委員会の課題 284
5 いじめ自殺統計の問題点 293
6 いじめ問題と校内暴力 294
7 いじめの内容 296 
8 指導死 298
9 いじめの開示 302
10 自殺意識調査 305

第七章 自死を思い止(とど)まるために
1 行動化と言語化 308
2 長崎「生と死のイメージ」に関する意識調査 313
3 飛び降り自殺 315
4 鉄道自殺 316
5 縊首自殺 318
6 死後の世界 319
7 突然、子どもに先立たれた親の悲しみ 322
8 絶対に死んではならないという教育 323

エピローグ 327
あとがき 344
参考文献一覧 347

著者略歴
竹中 力
[たけなか・ちから]

 昭和24年、柳川市にて出生。伝習館高校卒業。大学で少年非行学を専攻。福岡県に就職。児童自立支援施設、児童相談所等で指導員、児童福祉司、施設長、相談所長などの職に従事。退職後、国の九州地方更生保護委員会の委員に就任し、九州管内の刑務所服役者、少年院入所者等の仮釈放、仮退院審査に従事。退官後、スクールソーシャルワーカー、家庭裁判所家事調停員、短大非常勤講師等の業務の傍ら保護司として更生保護に従事し、10年。信条:子どもファースト 趣味:新聞の切り抜き(非行、虐待、いじめ・自殺、子どもの事故、子どもを狙った犯罪などスクラップブック70冊) 特技:料理。手料理で、昔の仕事仲間を集めて酒宴を催すこと。

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