ネット書店で注文
水俣病が描く近代日本の自画像
新興財閥チッソと昭和電工
〈水俣病〉を生み出したものは、歴史を遡れば日本近代の構造そのものではないか。チッソと昭和電工、二つの新興財閥は、日本資本主義・日本帝国主義と並走することで富と病を生み出した
水俣病は、姿を変えながらも、全く同じ構図をもって、再び起こるだろう。それが、活動を始めた当初からの私の確信だった。ゆえに私の探求は「水俣病を生み出した世の中」の正体を明らかにすることへと向かった。四十代を通してこれほど明確なテーマを掲げて仕事ができたことは、幸運であったと思う。
やがて一つの事実に突き当たった。水俣病を生み出した構造を知るための鉱脈は、水俣病の歴史そのものの中に眠っているということだ。水俣病の歴史を深く遡行していくことは、日本の近代史を貫く一つの断面をあらわにしていくことに他ならない。本書の着想はこの一点にある。 (あとがきより)
第一部 近代日本の黎明と二人の創業者
第一章 開国と日本のシステム転換
第二章 二人の創業者と電気化学の胎動
第三章 日清・日露戦争と産業の胎動
第二部 化学工業の勃興と第一次世界大戦
第一章 「日窒」の誕生と試練
第二章 森矗昶の再起と大戦景気
第三部 昭和恐慌と大陸への進出
第一章 アンモニア合成と技術の独立
第二章 揺れる社会と軍部の台頭
第三章 植民地朝鮮への巨大投資
第四章 昭和電工の誕生と暗闘
第四部 総力戦体制と「帝国」の崩壊
第一章 戦時下の化学工業
第二章 創業者の死と敗戦
第三章 帝国の解体と復興の始まり
第五部 戦後復興と高度経済成長の光と影
第一章 占領下の再出発と財閥解体
第二章 昭和電工の再建と疑獄
第三章 高度経済成長への道
第四章 石油化学コンビナートと乗り遅れた革命
第六部 水俣病事件の発生と拡大
第一章 熊本水俣病の公式確認
第二章 激動の一九五九年
第三章 忘却の時代と高度成長の絶頂
第七部 公害の噴出と国家の幕引き
第一章 新潟水俣病の発生
第二章 異議申し立ての時代と水俣の再燃
第三章 司法の正義と直接交渉
第四章 第三水俣病パニックと政治決着
第八部 安定成長下の事件塩漬けと現代
第一章 高度経済成長の終焉
第二章 「公害」が消えた国
第三章 バブル経済と平成の「解決」
第四章 チッソ救済と日本の黄昏









