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仙厓百話
扶桑最初善窟「聖福寺」の仙厓さんは、美濃のお生まれ、八十八歳までの五十年を博多でくらした高徳奇行のお坊さま。仙厓さんの嫌いなものは、俗物・成金・侍で、子供や貧乏庶民には心底温かい、軽妙洒脱で粋な方。軽妙辛辣な逸話の宝庫! -
日本人が見た’30年代のアフガン
1935年(昭和10年)、熱砂のアフガニスタンで農業指導に奔走した日本人がいた。一人の明治人とその妻が、苛酷な日常を通じて異文化と真摯に向き合い、日々の生活と内面の葛藤を綴った貴重な記録。写真多数。 -
元治元年のサーカス
幕末・開化期の横浜。来航した異人の珍道中を描く「イッピンシャンの冒険」から、生麦事件の裏で活躍したとされる少女を描いた「黒い瞳のスーザン」、曲芸師の親方のもとに飛び込んだ少年と一座が舶来のサーカスに出会うまでを描いた表題作まで、〈御一新〉の嵐に翻弄されつつもひたむきに生きる人々の姿を、すがすがしい筆致で描いた短編時代小説集 -
熊の茶屋
もらいうけた熊を茶店の名物にしようと、懸命に芸を仕込む主を描いた表題作や、建具屋に奉公する姉と弟の健気な姿を描いた「姉弟」など、古史料をもとに、文化文政期の東海道・鶴見村と周辺の宿場町に生きる庶民のすがすがしい生活風景を活写する短編時代小説集 -
子育てまんじゅう
子授け観音にあやかったまんじゅうを商う参道の土産物屋の姉妹を描く表題作や、もらいうけたサボテンを持て余す茶屋の主を描いた「さぼてん茶屋二代」など、古史料をもとに、文化文政期の東海道・鶴見村と周辺の宿場町の生活風景をさわやかな筆致で描く短編時代小説集 -
南蛮船の見える町
バテレンと宗麟が築いた国際貿易都市、豊後府内。海に沈んだ「瓜生島」の調査に生涯を賭し、世界史的視野で豊後史を見つめ続けた一歴史学者の、四半世紀にわたる探究の旅の軌跡 -
久留米がすりのうた
祖母の機織りを手伝いながら、着古してかすれた藍染めを見て「おでん加寿利」を創作した少女期、そして天才発明少年・からくり儀右衛門と共に、素朴で可憐な「絵絣」を完成させた久留米がすりの母・井上でんの前半生を清々しい筆致で描く長編小説 -
左官礼讃 Ⅱ
私達は戦後、眼に見える〈物〉を大切にするばかり、それらの〈物〉を生みだす眼にみえない過程(プロセス)をないがしろにすることで、成果や結果だけを求める拝物主義、拝金主義に陥ってしまった。職人の技術は、眼にみえないプロセスであり、身体とともにある眼にみえないフォルム(形)である。……(本文より) 懐かしい風景と、未来の風景のため。 〈泥の壁は美しい夢を見る──〉 -
左官礼讃
専門誌「左官教室」の編集長が綴る土壁と職人技へのオマージュ。左官という仕事への愛着と誇り、土と水と風が織りなす土壁の美しさとともに、打ちっ放しコンクリートに代表される殺伐たる現代文明への批判、そして潤いの文明へ向けての深い洞察を綴る -
藁塚放浪記
北は津軽の「ニオハセ」から宮城の「ホンニョ」飛騨の「ワラニゴ」宇和の「ワラグロ」出雲の「ヨズクハデ」、南は薩摩の「ワラコヅン」、はては韓国、アフガンまで、秋のたんぼをかけめぐり、藁積みの百変化を追った30年の旅の記録。 藁塚(わらづか)=稲刈りを終え、乾燥させた稲束を脱穀したあと(または脱穀の前に)、藁を積み上げられたもの。