書評

海の子の夢をのせて

海の子の夢をのせて 倉掛 晴美 いのうえしんぢ 石風社 れいんぼうらぶ 直江津 フェリー 児童書
A5判上製135頁
4-88344-067-2
定価:本体価格1300円+税
2000/10/31発行
booktitle
海の子の夢をのせて
zeikomi
¥0円


ありがとう「れいんぼうらぶ」

booktitle
海の子の夢をのせて
zeikomi
¥0円

お神楽の里・島根県平田市の小学校の、たった一人の6年生・優たちと、沖をゆくフェリー交流をつづる、実話から生まれた物語。映画「白い船」は、この一冊からはじまった。(小学校低学年より)

書評

夢を叶えた児童たちの実話

野口芳宏
北海道教育大学教授

 子どもをめぐる暗いニュースが多い昨今だが、そんな気分を吹っ飛ばしてくれるような明るい話題の本が出た。「海の子の夢をのせて」という書名の通り、子どもの夢が現実のものになっていうというほのぼのとした物語である。
 物語といってもフィクションではない。現実も現実、地名も登場人物もすべてが実名で登場するというすてきな海の子どものお話だ。
 舞台は島根県平田市の塩津小学校で全校児童は十九人。物語の主人公は、たった一人の男子六年生の優と二人の五年生綾子としおり、それに担任の本田亜希先生である。二階の教室に三つの机を並べた複式学級からこの話は始まる。この教室から、豪華で大きな白い船が毎日見えるようになる。「あの船、どこ行くだぁか……」と、授業中に優が呟いたことから、学校中がこの船に心を奪われる。やがて、それは大型のフェリーボート『れいんぼう・らぶ』だと分かり、いよいよ関心が高まってきた。そして、本田先生はこの船長さんにみんなで手紙を出そうよと促す。返事がくる。イルカのキーホルダーまで添えられて──。
 夢はどんどんふくらんで一度でいいから乗ってみたいと子どもたちは胸を熱くする。交流が深まって「海の子レインボー新聞」が子どもの手によって生まれ、地方新聞に「沖ゆく船と交流」と大きく紹介される。
 そして、ついに、子どもたちはこの船に招かれて夢がかなえられる! 文章も挿画も、子どもも先生も、地域もみんなみんな光っている。

目次紹介- 抜粋 -

1 沖をゆく、なぞの白い船
2 なぞの船の正体
3 イルカのマークが見えた
4 夏休みの職員会議
5 とうとうあえた、白い船
6 見えた! 塩津小学校
7 ありがとう「れいんぼうらぶ」
8 海の子発表会

倉掛晴美

くらかけ・はるみ

booktitle
倉掛晴美
zeikomi
¥0円
くらかけ・はるみ

長野県生まれ。飯塚市で中学校の図書館司書をしている。
日本児童文学者協会北九州支部「小さい旗」同人。
著書に『海の子の夢をのせて』がある。

いのうえしんぢ

いのうえ・しんぢ

booktitle
いのうえしんぢ
zeikomi
¥0円
いのうえ・しんぢ

1970年生まれ。福岡県立糸島高校卒業。フリーランスのイラストレーター/デザイナー。
2006-2008年「国際協力フェスタ・地球市民どんたく」のデザインコンペ賞受賞。
2007年ユニオン yes! グラフィックデザインコンテスト優秀賞。
挿絵に『風になるまで』『ドラキュラ屋敷さぶろっく』『ムーンとぼくのふしぎな旅』『サケよふるさとの川へ』、紙芝居『麦の穂との約束』(以上石風社)、『生存ハンドブック』(大月書店)『いじめの直し方』(朝日新聞社出版)など、多数。