書評

電撃黒潮隊

電撃黒潮隊 アートネイチャー 大山 木村栄文 石風社 TBS ルポルタージュ ドキュメンタリー テレビ ディレクター
389頁 四六判並製
4-88344-019-2
定価:本体価格1500円+税
1996/12/14発行
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電撃黒潮隊
zeikomi
¥0円


1992-1995

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電撃黒潮隊
zeikomi
¥0円

ブン屋に負けぬテレビマンたちの逆襲! 筑紫哲也氏絶賛の、心ゆさぶられるヒューマンルポルタージュが綴られた。

書評

地元への愛着あふれる視点で

由富章子

 先入観というのは、実に恐ろしい。どの本を選ぶか。わたしの場合その基準はまず題名、次に著者という順で決めている。だから本来ならばこの本は黙殺される運命にあったといえるだろう。なにしろ題名が、電撃黒潮隊である。テレビでオンエアされていることは知っていたが、てっきり軽薄なタレントが騒ぐだけの番組だと思い込んでいた。これが大層な誤解だということは一読すればすぐ分かったから、熱心に薦めてくれた友人には感謝しなければならない。
 蛇足ながら説明すると、この本は九州・沖縄・山口のJNN系列のテレビ局が制作したテレビルポルタージュを本にしたものである。だったら番組さえ見ていればそれでいいじゃないか、と言われるかもしれないが、それが違う。なにより映像と活字では表現方法が異なるし、放送では伝わらない細かい部分だってあるはずだ。ここはやっぱり映像屋さんにも頑張って、文字に起してもらわなければなるまい。
 さて基になる番組だが、勝負の決め手は各ディレクターの視点にあるといってもよいだろう。中央から見下ろした地方、ではない。公平な目線、旺盛な好奇心と真摯な追求、なによりも地元への愛着がものを言う。熊本ではかつて戦災孤児収容施設だった藤崎台童園と、オウムに揺れる波野村が取り上げられているからその興味の広さがわかろうかというものだ。
 もちろん出版社も地元(福岡)デアル。地方の雄として、メディアにはもっと個性と内容に重きを置いてほしいし、冒険心だって忘れてほしくない。もちろんわれわれ一人ひとりにしても本当に価値のあるものを見極め、育てていく器量が必要だ。
 頑張っている人を見ると思わずエールを送りたくなる。知らなかった身近な話題をもっと掘り下げたくなる。とにかく先入観なしに読んでほしい一冊だ。

目次紹介- 抜粋 -

1 ぼくらの文化財
   鯨が翔んだ  うまい酒・苦い酒  永元さんの絵 ほか
2 黒潮にのって
   カジキを追え!  巨大花崗岩に抱かれた秘境 追跡!クロマグロの行方  ほか
3 戦争が残したもの
   時代を切り撮った男・小柳次一  家族の肖像・戦災孤児収容施設の五十年  忘れえぬ戦友へ・台湾高砂義勇隊
4 それぞれの日本
   不正投薬の果てに  何処へ行くオキナワンボーイ・知念良吉の世界  パチンコ戦線波高し  老いと性  ほか

電撃黒潮隊編集部

でんげきくろしおたい・へんしゅうぶ

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電撃黒潮隊編集部
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でんげきくろしおたい・へんしゅうぶ

1992年からはじまった、九州・沖縄・山口のJNN(TBS)系8局が共同制作するアートネイチャースペシャル番組。週に1回のドキュメンタリーが各局のディレクターによって制作された。そのディレクターたちが、放送には出せなかった裏話や放送後の主人公たちを追って新しい展開も加えた、テレビルポルタージュの熱血制作編集後話。