花の語らい

絵:
久冨正美
判型・頁 四六判変型上製カラー120頁
ISBN 978-4-88344-273-7
定価 1650円(本体1500円)
発行日 2017/05/10

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その日、その日
目につく花を描いた

花は記憶を呼び覚まし、
思い出は花とともにあった

 

 幼い日、母親の実家で沈丁花の陰に隠れ、むせかえる香りに包まれたことがありました。病気の祖父を見舞う里帰りで、従兄たちと〝かくれんぼ〟をしていたのです。沈丁花の季節を迎えるたびに、初めて嗅いだ香りと祖父のことを思い出します。
 その頃、男の子の遊びにコマ回しがありました。町の八幡宮の境内に集って遊ぶのです。なかなか、上手に回せなかった私は何度も一人で練習しました。
 柿の花の散っていた日のことです。
 ――コマが回りました。家に向って走りました。すこしでも早く知らせたかったのです。
 散り敷く柿の花と、初めて回るコマ。忘れられない記憶のひとつです。
 折り折りの花は、それにまつわる出来事と重なって記憶されるようです。
 季節の花々は記憶のキーなのです。

目次


蕗の薹  猫柳   沈丁花  連翹  馬酔木
烏野豌豆 染井吉野 白木蓮  草苺  著莪
海老根  石竹   花筏   山芍薬 三ッ葉下野


蔓日日草 苧環   菖蒲   栃木  薮卯木
忍冬   雪の下  初雪葛  野薊  河原撫子
月見草  睡蓮   つるバラ 橙   博多百合
桜桃   矢車草  蕺草   金糸梅 梔子
紫陽花  夏椿   野萱草  桔梗  無花果
夾竹桃  露草   日日草  凌霄花 浜木綿
松葉牡丹 萩    木槿   鶏頭  吾亦紅
千日紅  唐辛子  白粉花  芙蓉  金虎の尾
風知草  鈴虫花  瓢箪   莢蒾  秋海棠


布袋葵  野葡萄  不如帰  彼岸花 石榴
秋冥菊  野菊   浜菊   烏瓜  蔦紅葉
紫式部  梅擬   姫?葉  臭木  楠
菝葜   白だも  茶の木  南京櫨 石蕗
千日小坊


山茶花  八手   山の芋  冬苺  南天
寒椿   匂い椿  唐橘   万両  枇杷
青木   真弓の実 千両   水仙  侘助
臘梅   冬牡丹  満作   福寿草

著者略歴
久冨正美
[くどみ・まさみ]

1935年福岡県生まれ 児童文学誌「小さい旗」同人 絵画グループ 五架会会員 朝日西部美術展、西日本美術展、宇部ビエンナーレなどに出品

 挿絵「馬でかければ」(作 みずかみかずよ 葦書房)
   「小さな窓から」(作 みずかみ かずよ 石風社)
   「豊島与志雄童話集」(海鳥社)

 絵本「南の島の白い花」(作 みずかみかずよ 葦書房)
   「雪原のうさぎ」(常星児 作 水上平吉 訳 石風社)
   「青の洞門物語」(松林たづ 作 海鳥社)
   「花の里駅へ」(坂井ひろ子 作 西日本新聞)

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