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三つの名を持つ少女
その孤独と愛の記憶
魂を揺さぶる
孤独な少女の心の旅路
世界で初めて編まれた
三毛(『サハラの歳月』の著者)の自伝的物語
本書は、台湾の作家・三毛の稀有な人生を、彼女自身が綴った文章で再構成したもので、二〇一九年に出版された三毛『サハラの歳月』の姉妹編にあたる。
『サハラの歳月』を読み、作者についてもう少し深く知りたいと思ったかたも多いだろう。あるいは本書を手に取ったのちに『サハラの歳月』に興味を持たれる読者もおられるかもしれない。どちらが先になっても、おそらく読者はいい意味で予想を裏切られるのではないかと思う。それほど二冊の本の肌合いは違う。だがそのどちらもが三毛の世界なのだ。(「訳者あとがき」より)
装丁 毛利一枝
表紙カバー写真 ©黄陳田心、陳聖、陳傑 經皇冠文化集團授權
Ⅰ 孤独からの旅立ち
吹事兵
紫のワンピース
読書は私の学校
振り向いた時
追試が決めた人生
歓喜の教室
Ⅱ ホセ 出会いと別れ
新郎のプレゼント
フェニキア人の甕
サハラ脱出 家族への手紙
石ころの記
夢に散る花
Ⅲ 愛の記憶
ある愛の物語
不合格の二人
後ろ姿
わが家を売る
E.T.故郷に帰る
雨禅台北
思いの石
訳者あとがき
収録作品初出一覧
本名・陳平、英語名・Echo Chen。1943年中国四川省重慶で生まれ、5歳のときに家族と共に台湾に渡る。中学2年、14歳のとき不登校となる。その後21歳で中国文化学院(現・中国文化大学)哲学科の科目履修生となったあと、24歳のときにスペインへ渡る。1974年、サハラ砂漠で8歳年下のスペイン人ホセ・マリア・クェロと結婚。砂漠での生活を題材にした物語「中国飯店」(のち単行本収録時に「沙漠中的飯店」(砂漠の中のレストラン)と改題)が台湾の新聞に三毛のペンネームで発表されるや、三毛フィーバーを巻き起こす。その後はカナリア諸島に拠点を移し、主に自らの生活を題材とした作品を次々に発表した。夫・ホセの死後は台湾に戻り執筆や講演活動に専念した。1991年死去、享年48歳。
著書には、『撒哈拉的故事』(サハラの物語 1976年)、『雨季不再来』(雨の季節はもう来ない 1976年)、『稲草人手記』(案山子の手記 1977年)、『哭泣的駱駝』(哀哭のラクダ 1977年)、『背影』(後ろ姿 1981年)、『夢裡花落知多少』(夢に散る花 1981年)など。『撒哈拉的故事』は、日本語(邦題『サハラ物語』妹尾加代訳)、韓国語、スペイン語などに翻訳されている。三毛逝去二十周年を記念して再編集された典蔵版『撒哈拉的歳月』(サハラの歳月 2011年)は日本のほか、イギリス、アメリカ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、イタリア、ミャンマー等で翻訳出版されている。
福岡市出身。九州大学文学部卒業、九州大学比較社会文化学府博士後期課程退学。大学卒業後、貿易会社勤務ののち、福岡大学人文学部東アジア地域言語学科教員。現在は福岡大学非常勤講師。
著書:『中国南方話劇運動研究(1889-1949)』(九州大学出版会 2010年)
共著書:『中国現代文学と九州――異国・青春・戦争』(九州大学出版会 2005年)
編訳書:洪子誠『中国当代文学史』(東方書店 2013年、岩佐昌暲と共編)
共訳書:陳映真『戒厳令下の文学 台湾作家・陳映真文集』(せりか書房 2016年)、藍博洲『幌馬車の歌』(草風館 2006年)、尾崎秀樹『旧植民地文学的研究』(台湾・人間出版社 2004年)、胡昶・古泉『満映 国策映画の諸相』(パンドラ 1999年)ほか。
高知県出身。京都外国語大学英米語学科卒業。1964年9月より1年間、台湾省立師範大学(現・国立台湾師範大学)国文系に留学。
訳書:三毛『サハラの歳月』(石風社 2019年)
三毛『サハラ物語』(筑摩書房 1991年)
監訳書:鄧友梅『さらば、瀬戸内海!』(周南地区日中友好協会中国語講座「悟空」 2012年)
共訳書:藍博洲『幌馬車の歌』(草風館 2006年)