科学と詩の架橋

四六判上製336頁
978-4-88344-313-0
税込価格2750円
2022/8/8発行
紹介

科学を絶対とする
近代文明に
詩を取り戻せるか

シモーヌ・ヴェイユ
レヴィ=ストロース
寺田寅彦 
岡潔
宮沢賢治

五人の思想家をめぐる
知の探究

諸悪の根源は
近代科学の元祖
デカルト!?

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 私たちの教育制度は文学テキストの解読ができない
科学者を育て、科学的思考のいろはをも身につけてい
ない文系の人間を育てつづけている。このような現状に
鑑みて、私は本書を世に問うことにした。
 本書であつかう人物は、いずれもが科学と詩に架橋
する意欲を示した人たちだ。そういう彼らの言葉を追う
ことで悲惨な現状を知り、その克服の道を考えたいので
ある。             (本書「あとがき」より)

目次

第一章 シモーヌ・ヴェイユにおける代数と詩
  一 詩と代数   二 マルクス   三 思考の自由 
  四 近代科学と代数    五 イデオロギー 
  六 デカルト批判   七 現代科学批判 

第二章 レヴィ=ストロースにおける新しい科学
  一 哲学と科学   二 告白の科学 
  三 歴史学と民族学   四 野生の科学 
  五 ブリコラージュ   六 記号論 
  七 芸術   八 脳科学   九 詩と音楽 
  十 レヴィ=ブリュール   十一 絶対の孤独 
  十二 ルクレティウスと仏陀   十三 新しい科学 

第三章 寺田寅彦における俳諧と物理学
  一  科学随筆   二 俳諧   三 連句 
  四 科学の正統   五 X線回折 
  六 ポアンカレーと日常の科学   七 プリゴジン 
  八 ルクレティウス 

第四章 岡潔における数学と詩
  一 数学者・岡潔   二 発見の喜びと情緒 
  三 パリ留学とその後   四 野に咲くスミレ 
  五 情緒   六 数学的自然 
  七 芭蕉と道元 

第五章 宮沢賢治における科学と宗教と詩
  一 詩よりも科学   二 詩の中の科学 
  三 科学   四 心理学 288  五 銀河鉄道 
  六 法華経 

  あとがき 
    参考・引用文献一覧 

著者

大嶋 仁

おおしま・ひとし

 1948年鎌倉市生まれ。1975年東京大学文学部倫理学科
卒、在学中にフランス政府給費留学生としてフランスに2
年滞在。1980年同 大学院比較文学比較文化博士課程単
位取得満期退学。静岡大学講師、バルセロナ、リマ、ブエノ
スアイレス、パリで教えた後、 1995年福岡大学人文学部教
授。2016年退職、名誉教授。佐賀県唐津市で「からつ塾」の
運営にも当たる。
著書は『精神分析の都』(作品社 )『 福沢諭吉のすゝめ』(新
潮選書)『 ユダヤ人の思考法』(ちくま新書)『 正宗白鳥 何
云つてやがるんだ』(ミネルヴァ書房 )『 メタファー思考は
科学の母』(弦書房)など。