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科学と詩の架橋
私たちの教育制度は文学テキストの解読ができない科学者を育て、科学的思考のいろはをも身につけていない文系の人間を育てつづけている。このような現状に鑑みて、私は本書を世に問うことにした。
本書であつかう人物は、いずれもが科学と詩に架橋する意欲を示した人たちだ。そういう彼らの言葉を追うことで悲惨な現状を知り、その克服の道を考えたいのである。
(本書「あとがき」より)
科学を絶対とする
近代文明に
詩を取り戻せるか
シモーヌ・ヴェイユ
レヴィ=ストロース
寺田寅彦
岡潔
宮沢賢治
五人の思想家をめぐる
知の探究
諸悪の根源は
近代科学の元祖
デカルト!?
第一章 シモーヌ・ヴェイユにおける代数と詩
一 詩と代数 二 マルクス 三 思考の自由
四 近代科学と代数 五 イデオロギー
六 デカルト批判 七 現代科学批判
第二章 レヴィ=ストロースにおける新しい科学
一 哲学と科学 二 告白の科学
三 歴史学と民族学 四 野生の科学
五 ブリコラージュ 六 記号論
七 芸術 八 脳科学 九 詩と音楽
十 レヴィ=ブリュール 十一 絶対の孤独
十二 ルクレティウスと仏陀 十三 新しい科学
第三章 寺田寅彦における俳諧と物理学
一 科学随筆 二 俳諧 三 連句
四 科学の正統 五 X線回折
六 ポアンカレーと日常の科学 七 プリゴジン
八 ルクレティウス
第四章 岡潔における数学と詩
一 数学者・岡潔 二 発見の喜びと情緒
三 パリ留学とその後 四 野に咲くスミレ
五 情緒 六 数学的自然
七 芭蕉と道元
第五章 宮沢賢治における科学と宗教と詩
一 詩よりも科学 二 詩の中の科学
三 科学 四 心理学 288 五 銀河鉄道
六 法華経
あとがき
参考・引用文献一覧
1948年鎌倉市生まれ。1975年東京大学文学部倫理学科卒、在学中にフランス政府給費留学生としてフランスに2年滞在。1980年同 大学院比較文学比較文化博士課程単位取得満期退学。静岡大学講師、バルセロナ、リマ、ブエノスアイレス、パリで教えた後、 1995年福岡大学人文学部教授。2016年退職、名誉教授。佐賀県唐津市で「からつ塾」の運営にも当たる。
著書は『精神分析の都』(作品社 )『 福沢諭吉のすゝめ』(新潮選書)『 ユダヤ人の思考法』(ちくま新書)『 正宗白鳥 何云つてやがるんだ』(ミネルヴァ書房 )『 メタファー思考は科学の母』(弦書房)など。