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南風
辺境の噴火湾が
小宇宙となって
ひとの世の
死と生を
映しだす
夕暮れ時になると、その男は裸形になって
港の町を時計回りに駆け抜けた――
第16回文藝賞受賞作、
著者幻の処女作が四十年ぶりに甦る
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「きみは今日、孤独について話したな。だがこれから、きみはもっと孤独になっていくんだぞ」
いいか覚悟しておけよ、と静かに言われました。
(文藝賞授賞式の後「文藝」の編集長から)
予言は、みごとに的中しました。この四十年、わたしは日本文学のどこにも居場所がなく、ひっそり孤立していたようです。いまも孤独が深まっていくばかりです。
(四十年ぶりの「あとがき」より)
著者略歴
1944年ハルピン生まれ。鹿児島県立甲南高校校卒業後、アメリカへ渡る。ニューヨークで通算13年暮らし、世界60数カ国を歩いた。
早稲田大学客員教授、大阪芸術大学教授などを歴任。
著書『南風』(文藝賞)、『金色の象』(野間文芸新人賞)、『焼身』(読売文学賞 芸術選奨文部科学大臣賞)、『魔王の愛』(伊藤整文学賞)。ほかに『グリニッジの光りを離れて』、『ぼくは始祖鳥になりたい』『金色の虎』、『永遠の道は曲りくねる』など多数。
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