蜜蝋の花

著者:
野田明子
判型・頁 A5判上製 134頁
ISBN 978-4-88344-300-0
定価 2200円(本体2000円)
発行日 2021/04/13

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影との対話から
存在そのものへ

イラン・イラク戦争の
日常と空爆を
体験した少女が
言葉で
世界を取りもどす

 自分にとって、天と地をつなぐのが、言葉であり、生の喜びを映す日の光のようであった。道々出会う、全てを受け入れ、そのままで、あるがように。そこにあるもの。
(「あとがき」より)

装画:甲斐大策

目次

イラン想詩
 夕暮れと赤い記憶
 ある大使館員の死、ある銀杏の死
 蜜蝋の花
 並んだ時間
 月夜
 うつつ と リアル
 とぅーとぅふぁーらんぎー
 くわの実たべた
 道

生 詩
 全身の水
 その先
 人型
 うまれた日
 子宮からの脱出
 流れの行き着くところ
 あたまをあらう
 かえってみたものの
 かんかくのきょうかいせんじょう
 風呂
 自然体
 血文字
 温度計
 魚の骨
 しろいねこ
 蟻の時間の手前
 蝶々の飛んできた道
 さくら
 土筆
 草の音をきく
 こんぽすとのなか
 花火の夜
 風媒花
 骸骨と黒穂

死 詩
 みつろうのとも
 しぬまで
 この世からいなくなる
 おなかのなかがくらくなる
 おばあの通夜
 鳥葬曲
 殺生石
 かんぺきなし
 しというものは
 うごかぬ証拠
 じんせいは斎場
 千一羽鶴
 足元から
 骨と肉体
 夢をみとった

無空道
 寂しいということ〜失われたものへの歌〜
 さかみちととうげ
 蔵の中
 箱庭日記
 仮説
 空白
 よのなか
 心臓が動くたびに
 循環無限
 まんねんのおおだい

著者略歴
野田明子
[のだ・あきこ]

1970年福岡生まれ。幼少時、警察官であった父の仕事の関係で、イスラム革命前後、イラン・イラク戦争当時の中東のイランに滞在し、日本に帰国。西南大学文学部児童教育学科卒業後、写真屋、一般事務、養護学校、鍼灸院の助手、介護、公民館勤務の後、茅葺の家に住みながら百姓をしつつ、詩や小説を書き自然の中で暮らせるよう探していたところ、茅葺職人の仕事に出会い、大分の日田に移住し、生業となり、今に至る。

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