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霞野
指先に かすかに萌す ムーン・エア タクトの先は 待つ虚空
霞野の中で不確かに揺れている現在。 その視界を飛び、やがて虚空へと翔るものたち、そこに萌し始める新たなツクヨミの調べ。
<「石風」No.26より抜粋> 詩集『霞野』の時空間 福岡国際大学名誉教授 ・日本近代文学会会員 井上洋子 「詩を論ずることは神様を論ずるに等しく危険である。詩論はみんな(軽薄な)ドグマである」と、警告したのは西脇順三郎(『超現実主義詩論』、一九二九年)であり、詩について何かを言おうとする人の言葉をひとまずは奪ってしまう。しかし、宗清友宏さんの詩集『霞野』に沿って〈詩を論ずる〉としたら、詩論嫌いの西脇の言葉がやはりもっともふさわしいもののように思われる。西脇は次のように続けているからである。「人間存在の現実それ自身はつまらない。この根本的な偉大なつまらなさを感ずることが詩的動機である。詩とはこのつまらない現実を一種独特な興味をもって意識させる一つの方法である」と。 宗清さんの詩は、近現代の詩が繰り返しうたってきた存在の違和に伴う情感でも、心象風景の描写でもない。まして社会的土壌についての批評でもない。彼が表出しているのは、存在の構造性そのものである。西脇の言う〈根本的で偉大なつまらない、人間存在の現実〉を、宇宙的な時空間にわたる構造体として描出しているのである。
霞野
龍体めざめ
葉陰の歌
速度の祝福
旋回する、夕涼み
青のマトリックス
秋を告げる
鉄の輪廻
かえで(楓)
サザンカ星雲
虚空
ー。・、 。
囀りたち
発生の未知
(換相曲)
形態論
切っ先に ふれて
・・
秋
月下草帯
〈月讀歌〉
ツクヨミ
ツクヨミ Ⅱ
ヒルメ・ツクヨミ
ヒルメ・ツクヨミ Ⅱ
渦実歌
初出・註 104
宗清友宏作品 『縁速』あざみ書房刊 定価一五〇〇円+税(著者宛) 『タプティ詩篇 時量師舞う空に』石風社刊 定価二三〇〇円+税 『霞野』石風社刊 定価一八〇〇円+税 『カタカナフォルム小曲集』花書院刊 定価八〇〇円+税