福岡赤煉瓦文庫1 逃亡/月明

著者:
北川晃二
判型・頁 四六判上製 104頁
ISBN 978-4-88344-221-8
定価 1650円(本体1500円)
発行日 2012/11/30

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日中戦争末期、指針を失い弛緩した戦線から突如逃亡をはかった二人の兵士と、その追跡の任にあたった兵士の間の内面の葛藤を描き、一九四六年発表当時、火野葦平から激賞された長篇「逃亡」。紀元前の大陸を駆け巡った匈奴の冒頓単于の流転のドラマを描いた最晩年の短編「月明」。戦後間もない福岡で産声を上げた文芸誌『午前』を俳人・眞鍋呉夫らと創刊し、三島由紀夫や檀一雄らスター作家の寄稿を初め、多くの後進作家も育てた名編集者だった北川晃二。長らく絶版状態だった代表作を収めた貴重な作品集。

目次

逃亡
月明
『逃亡』初版あとがき
「逃亡」のための長たらしい序文 火野葦平
解説 深野治

著者略歴
北川晃二
[きたがわ・こうじ]

一九二〇年、福岡県添田町生まれ。一九四三年、西南学院高等部を卒業後、北京日本大使館・調査課報道班に勤務。応召によって北支派遣軍・第六三師団から久留米師団に転属、同地で終戦を迎えた。復員後、福岡市の図書出版・惇信堂に入社し、南風書房を設立。一九四六年六月、眞鍋呉夫らと文芸誌「午前」を創刊。同号掲載の小説「逃亡」が火野葦平に賞賛され、第一回九州小説賞を受賞。編集者として檀一雄、三島由紀夫らの寄稿を得るなど手腕を発揮する一方、新鋭作家として注目され東京の文芸誌「群像」などに作品を発表した。一九五一年、夕刊フクニチ新聞社に入社。小説「奔流」で一九五二年上半期芥川賞候補。新聞紙上で多くの評伝などを連載するかたわら、「午前」「西域」「季刊午前」など地元文芸誌で後進を育成した。一九八九年、福岡市文化賞を受賞。主な著書に『逃亡』(講談社、一九四八年)、『黒衣の女』(光風社書店、一九七三年)『青木繁 その愛と彷徨』(講談社、同年)、『黙してゆかむ 広田弘毅の生涯』(講談社、一九七五年)などがある。一九九四年、逝去。

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