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ぼくの村にB29がきた
雷山空襲
一九四五年六月十九日の夜、
福岡市の西にある小さな農村に
一機のB29爆撃機が飛来した
おだやかな日々をおくっていたきょうだいがねむる屋根に、焼夷弾の雨がふりそそぎ父母と弟妹を奪いさった。
ある日「庫男(くらお)さんの体験を絵本にしたいのですが、どうでしょうか?」とお尋ねすると、庫男さんの目に涙があふれ「お願いします」と言われました。一発の焼夷弾で家族が引き裂かれた事実を、後世に残すことこそ山下庫男さんの悲願だったと感じました。 取材を開始しましたが、いつも同じ場面で声が詰まり、涙を流されることに気づきました。弟の「としみさん」が燃える火の中で助けを求めるところです。「70年たってもあの日のことは死んでも忘れない。」と言われ、助けることができなかった無念の気持ちが今でも庫男さんを苦しめていることがわかりました。戦争は終わっても人の心に深く大きな傷を残すのです。「戦争は絶対だめです。平和な世の中が続いてほしい」という庫男さんのメッセージを世界中の子どもや大人たちに。そして私の孫、大晴、みちる、まなみに贈ります。
1952年生まれ
2010年、在職中に紙芝居「麦の穂との約束――雷山空襲より」(石風社)出版
2012年、38年間勤めた小学校教諭を退職
現在は民生委員・児童委員として地域貢献をするかたわら、小学校や高齢者のサロンなどで雷山空襲の紙芝居を上演し、平和の大切さを伝えている
1935年福岡県生まれ 児童文学誌「小さい旗」同人 絵画グループ 五架会会員 朝日西部美術展、西日本美術展、宇部ビエンナーレなどに出品
挿絵「馬でかければ」(作 みずかみかずよ 葦書房)
「小さな窓から」(作 みずかみ かずよ 石風社)
「豊島与志雄童話集」(海鳥社)
絵本「南の島の白い花」(作 みずかみかずよ 葦書房)
「雪原のうさぎ」(常星児 作 水上平吉 訳 石風社)
「青の洞門物語」(松林たづ 作 海鳥社)
「花の里駅へ」(坂井ひろ子 作 西日本新聞)
1945年6月19日の夜、福岡大空襲では、B29爆撃機239機が爆撃を行い、福岡市の3分の1の家屋が羅災し、死者1,000人を超えるという大惨事になった。そして同夜23時30分頃、福岡市を空襲した編隊の一機が飛来し、背振山の山裾に位置する糸島郡雷山村に焼夷弾を落とした。8人が犠牲になり、そのうち、父、母、弟、妹の4人が庫男さんのご家族だった。